映画「#白爪草」の鑑賞にはVTuberの技術面の背景を知っておく必要があるかもしれない
2020年9月24日
どうも、kayolabo801です。
先日8年振りに映画館に足を運びまして。
最古参バーチャルYouTuberの電脳少女シロ主演の映画「白爪草」を鑑賞しに池袋HUMAXシネマズまで足を運びました。
https://www.sirotsumekusa.com/
元々シロちゃんのファンである私は、映画の存在を知った瞬間映画館の予約を入れ公開初日に観に行きました。
内容としてはとても面白いワンシチュエーションサスペンスで、1回の視聴では飽き足らず翌日2回目を観るほどにはハマりました。
どんな感想を述べてもネタバレになってしまうため内容の感想については割愛します。というか他の方の感想と概ね一致です。
Twitterでは「#白爪草」ハッシュタグとともに絶賛されている当映画。皆さんが口を揃えて言うのが「バーチャルYouTuberというものを知らない人でも楽しめる」ということです。
ただ、いくらこの映画が素晴らしいとはいえこの文言は多分に危険を孕んでいると私は考えます。
「物語」、「演劇」としての本作
本作の何より賞賛すべき点は脚本であると私は考えています。
コロナ禍において「映画界を盛り上げたい」という意気込みで全てがリモートで制作された本作ですが、とにかく「物語が面白い」の一言に尽きます。
先程申し上げたように少しでも内容に触れてしまうとネタバレとなってしまうため言及しませんが、 VTuberによるワンシチュエーションという映像制作においてかなり制約がある中、見事なサイコサスペンスに仕上がっていました。
※脚本の我人祥太氏がR-1グランプリ2010の「憂い」ネタの人と同一人物だと知ったのはかなり後になってからの話です。
主演のシロちゃんを始め出演陣の演技にも圧倒されてしまいました。
制作環境の前提としてあまり映像に完成度を求めることができない中、見事な演技で物語を成立させていました。
VTuberの映像技術を少しは知っている者として、見事な作品であったと自信をもって言うことができます。
しかしそれはVTuberの技術的背景を知っていたからではないかと思っています。
「映像作品」としての本作
映像作品として観ると、かなり荒が目立つ作品であったことは間違いありません。
登場人物の声の演技に対する表情変化の乏しさ、モーションがやや稚拙で効果音に注視しないとシチュエーションを掴み切れない場面など、脚本や演技の素晴らしさに映像技術が追い付いていないように感じる場面が多々ありました。
電脳少女シロの普段の活動を知っている者としては「この制約の中よく頑張った」と言えるのですが、バーチャルYouTuberの活動を知らず本作を「話題の映像作品」として観た視聴者がいたらどうでしょうか。
PIXARのような素晴らしいアニメーション技術に慣れている映画ファンからしてみれば本作の映像技術は素人のそれです。
そういう人達が本作を観れば、映像の荒が気になって物語に集中できないかもしれません。
タイトルで述べた「本作の鑑賞にはVTuberの技術面の背景を知っておく必要がある」というのはそういう意味です。
まとめ
というわけで映画「白爪草」のネタバレなしレビューでした。
本作の池袋での上映は10/2(金)までとなっているようなので気になっている方はお早めに劇場に足を運んでいただければと思います。